NIナンバーはなぜ必要?毎月給与から引かれるのはなぜ?知っておきたい【National Insurance】の仕組み

イギリスで働く人は必ず耳にしたことがあるはずの”National Insurance”(以下”NI”と略しています)
私自身YMSでイギリスに着いてすぐにNIナンバーを取得し、毎月給与から引かれているのは知ってはいたものの、「結局何のために支払っているのか」「どの割合で引かれているのか」などきちんと理解はしていませんでした。
この記事では少しでもNIについて理解が深まるよう、分かりやすく解説していきます。
この記事を読んでほしい人
✔️ イギリスでこれから働く予定がある/すでに働いている人
✔️ NIの役割・仕組みについて知りたい人
✔️ いくら支払うのか計算方法が知りたい人
National Insurance とは
National Insuranceとはイギリスの国民保険のことで、年金、失業保険、産休などの社会保障をカバーするために存在します。
支払ったお金は上記の補償が必要な国民のために使われますが、逆に言うと自分が補償が必要になった時も補償を受けることができます。
支払った金額は将来イギリスで受け取ることができる年金額にも反映されます。
支払い義務のある対象者は、「一つの勤務先で週に£242以上収入がある」または、「自営業で年間£12,570以上の収入がある」人です。
イギリスで働く予定のある方は対象になる場合が多いかと思います。
NIナンバーとは

NIナンバーとは、アルファベット2文字+数字6文字+アルファベット1文字から成る、生涯変わることのない個人番号です。
(例)QQ123456B
この番号は、個人のNational insuranceや所得税をきちんと記録するためのものです。
イギリスで働く人は、勤務が始まる際に勤務先からこの番号を聞かれます。フルタイムだけでなく、パートタイムの場合も提出が必要になる場合が多いと思うので、少しでも働く予定がある方は準備しておきましょう。
イギリス人は16歳になる直前にレターが届きますが、外国人は自分で申請が必要です。イギリスで働く予定がある方は、現地に着いたらすぐに申請するのがおすすめです。
いくら徴収されるの?

National Insuranceは所得税とは別に給与から天引きされます。割合はClassとその年によって異なります。
2025年現在、勤務先で雇われて働く人はClass1に該当し、約8%が給与から引かれます。
雇われて働く場合が多いと思うので、ここでは一般的に当てはまる方の多いClass1かつ、*カテゴリーAに該当する方を例に支払い率を解説していきます。
(自営業の方や雇い主に該当する方はClassが異なるのでご注意ください。)

*カテゴリーはClass 1の中でさらに分類されているものです。21歳以下の方、年金をもらう年齢の方などでカテゴリーが分かれていますが、Aに当てはまる方が多いかと思います。以下の表を参考にしてみてください。
では実際に月に引かれるNIの金額はどのように計算されているのでしょうか。2025年度(2025年4月2026年4月)の下の表を参考にして計算していきます。

(例)月収£2,000(税引き前)の場合
2,000-542=1,458 【£542までは0%なので全体から引きます】
1,458×8%=116.64【8%をかけた数字がNIとして引かれます】
ということで、£116.64プラス所得税が毎月給与から天引きされます。
表だけ見ると難しそうですが、実際に計算してみると思ったよりも簡単です。
アルバイトの場合でも週に£242を超えるとNIを支払う必要があるので、気になる方はぜひ給与明細をチェックみてください。
帰国後の返金はあるの?

YMSの期間を終え、2年で帰国する方も多いと思います。その場合、帰国後のNIのリファンドはあるのか?結論から言うと、帰国後のNIの返金はありません。
「帰国後はタックスリターンを申請できる」と聞くことがよくありますが、その場合のリターンとは所得税のことでNIは返金されません。

今まで払ってきたNIは払いっぱなし…?何も恩恵を受けられないの?と疑問に思いますよね。
今まで払ってきたNIは、補償が必要な国民に充てられることはもちろん、自分が将来受け取るState pension(イギリスの国民年金)の金額に反映されます。ただ受け取るには最低10年支払う必要があり、残念ながら日本の年金と支払った年数を合算することはできません。イギリスと日本は協定を結んでいますが二重支払いを防ぐシステムがあるだけで、年数・金額の合算はできないのが現状です。
失業手当(Job Seekers Allowance)も、2年以上NIを支払った場合に補償が受けられるのでYMSで2年で帰国する方にとってはNIは払い損のように感じてしまうかもしれません。
ただイギリスに住んで働く以上は支払いの義務があります。日本でも外国籍の方が3ヶ月以上住む場合は国民健康保険への加入が義務となっているので、そう考えるとどの国も同じようなシステムなんですね。
HMRCアプリでチェックしよう

毎年tax yearの計算が終わると6月頃にHMRCからレターが届き、そこでNIを支払った金額もチェックすることができますが、HMRCのアプリをインストールするといつでも自分の収入や税金などを見ることができます。
現在までに支払ったNIを元に、将来受け取れる年金の見込額もここでチェックすることができます。(前述したように最低10年の支払いが必要なので、イギリスに長く住む予定がある方は参考になるかもしれません)
アプリでログインできるようにしておくと、紙のレターの代わりにアプリ内でのメッセージで6月の通知を受け取ることができるので便利に利用できます。毎年のタックスリターンにも関わってくるので、この時期に来る通知は見逃さないようにしましょう。
まとめ
National Insurance(NI)について少しでも理解が深まったでしょうか?
日本にいてもそうですが、会社で雇われて働いていると何がいくら給与から引かれていてそこから将来どんな恩恵が受けられるのか、あまり理解しないまま過ごしていくことが多い気がします。
ただ、外国に住んで働く上でそこを理解して過ごすのは日本にいる時よりも大切だと思うので、分かりづらいNIについてこの記事が少しでも参考になれば幸いです。